BMWの新型3シリーズ。
試乗の動画や記事は、先頭で導入された330iのMスポーツばかり。
スポーツサスペンション、19インチのランフラットタイヤを履いていて、
当然ながら足回りは結構固い、しかしそれでもかなり良い、
というインプレッションの傾向だ。
E92を買う時にわざわざ「非Mスポ」を選んだ私なので、
新型3シリーズも320iの標準グレードを本命と見ていた。
この日、試乗することができたのは320iのMスポーツ。
330iが19インチなのに対し、こちらは18インチ。
確かにホイールを見ると一回り小さい。
個人的には、見た目のバランスは良いと思う。
18インチか、17インチか、迷うところかな??
乗り込んでドアを閉めると、外部から隔絶される感じ。
ボディ全体の静粛性が非常に高いことが一瞬にして分かる。
インパネ
メルセデスほどの派手さはないが、
クロームやピアノブラックの仕上げが各所に使われ、
スイッチ1つ1つまで非常に上質、高級感に溢れている。
運転席前と中央に、横長の液晶画面がダブルで置かれる。
着座位置は十分低く、もうクーペのE92と変わらない。
自分の運転ポジションを決めた後に後席に座ってみたが、
頭上・足元ともに余裕であった。
ただFRなので中央足元はボコッと盛り上がっている。
5人目は短時間用の座席になる。
センターコンソールのスタートスイッチを押してエンジン稼働。
420iグランクーペに試乗した時(記事)もそうだったが、
ダウンサイジングターボの霊験はあらたかで、
アクセルを軽く踏んだだけでドーンと加速する。
2リッターという排気量はF30と同じものの、
トルクは300Nmにも達していて、これがスタンダードとは、
すごいパワースペックになったものだ。
次に気づくのは、非常に高い静粛性だ。
試乗動画でも言われていたが、確かにその通り。
ロードノイズが少ないことに加えて、
踏み込んだ時のエンジン音も非常に遠くから聞こえてくるだけ。
足回りは固いとは思ったが「そこまで固くない」と思った。
18インチタイヤになっているからだろう。
いい意味で「BMWらしからぬ」静粛性、そして快適性だ。
発進もスムースで、エンジンもほとんど回らずに加速するし、
エンジン音も非常に小さいので、ここまで来ると
エンジンレスのEVとの差もほとんどないのでは?
あるいはメルセデスのBSGのようなモーターでの発進とも、
ほとんど差がないのではないかと思わせる。
Mスポ伝統の、極太&柔らかな感触のステアリングは握りやすい。
E92の油圧ステアが重過ぎなので、それと比べると
軽過ぎる感じはしたが、それは比べる方がおかしいだろう。
ただステアリング操作に対してかなりクイックで、
左折時には気を付けた方がよい。まあ、慣れの問題ではあるが。
オプションのヘッドアップディスプレイが付いており、
速度表示が見やすかった。12万円程度で、付けたくなる。
メーター内に、瞬間のトルク・馬力が表示されるモードがあり、
これは車好きにはたまらない。
全長は4.7m、全幅は1.8mを超えてしまったが、
E92と比べても+12cmと+4cm程度であり、
短時間の試乗でも慣れてしまった。
まあ、徐々にサイズアップしているので"ゆでがえる"状態に
なりつつあるのだろうが・・・。
スポーティーなBMWというイメージをいい意味で裏切る、
高い快適性、高い静粛性、高い上質感が印象的だった。
スポーティーとラグジュアリーが高い次元で融合している。
そして320iのMスポで583万円、
320iのスタンダードで523万円というプライスは
従来のF30と同等であり、買い得感があると感じる。
新型3シリーズ、素晴らしい完成度だと思った。