フィアット・パンダ4×4を車検に出した代車として出てきたのは
三菱のミラージュだった(レンタカー)。
その試乗インプレッションをお届けする。
現行のミラージュは2012年8月に発売されているが、
手元に来たのは2016年にマイナーチェンジが行われたモデルとなる。
外観はフェイスリフトが行われている。
MC前はいかにも「アジアンカー」という印象で、
コストダウンしました!的な?
とにかく日本人の感覚には受け入れがたいものだったが、
MCによってだいぶハリのある顔つきになったと思う。
しかし、顔だけが整形されたことで、全体のデザインバランスの
悪さが目立つことになった。リアからの眺めは平凡だし、
ボディサイドにもプレスの抑揚がなく平面。
インパネ周りの質感は悪くない。ところどころピアノブラックも
使われている。ステアリングもウレタンだが触感は悪くない。
特に奇をてらった点はないが、ハザードランプは押しやすい位置にあるし、
サイドブレーキも引くタイプで、慣れ親しんだ造り。
ただ、シートの上げ下げをするダイヤル式のつまみは操作しにくかった。
後席は身長174cmの私がピシッと座ると頭が天井にぶつかるし、
太ももの裏に若干隙間ができてサポートしきれない。
しっかり座れるのは身長168cm以下くらいまでかなぁ。
全長3795mmに対して全高は1505mm、という寸法からいくと
後席の空間の確保は難しいのかもしれない。
ただ、価格(138万円)的には軽自動車もライバルになってくるわけで、
ワゴンRやムーブあたりの後席の広さと比べると印象は悪くなる。
ドライビングインプレッション。
エンジンをかけてアイドリングは静か。回転数は600くらい?
アクセルを踏み込むと、加速は意外と?スムースという印象だ。
回転数1500くらい、時速では15kmくらいに達すると、
もう回転数が下がりロックアップした感覚になる。燃費を稼ぐ設定だ。
しかし、悪い印象はなく、低回転からアクセルを少し踏み増しても
比例して加速が得られる。タウンユースでの加減速、
多少の登り下りがあっても不満なく走行できる。
しかしアクセルをガバッと踏み込んでの急加速や、
ややきつめの登りでは、エンジン音の高まりに加速がついてこない。
エンジンは1.2リッター自然吸気、最大トルクは100Nm/4000rpm、
最大出力は78馬力/6000rpm。1.2リッターの割には、
特にトルクは控えめの数値になっていることが原因だろうか。
負荷が小さい時は、900kgという軽めの重量が効いて不満がないが、
負荷が大きくなると、エンジンの出力不足が気になってくるのかもしれない。
エンジン音は、低回転は「ボー」、2500回転くらいから「ガー」となる。
要は低回転は低周波の音振が、高回転は高周波の音質が気になる。
実はこのエンジン、3気筒であって、その特徴通りの印象だ。
運転しながら「あれ?確かMCして1.2リッターに一本化されたはずだが、
4気筒だったけ?3気筒だったっけ?」とどちらか分からなかったが、
その中でも先の印象だったから、印象としては間違いない。
「軽ターボ」のような印象のエンジンだ。
あまり踏み込まずに走っている分には、エンジン音は気にならない。
静粛性はあまり良くない。
走行中にオーディオの音量を調整すると、
停止した時にうるさくて音量を下げる。
走り出すとまた音量を上げる。を繰り返す羽目になる。
ちなみに「1.2リッター3気筒の自然吸気」と言えば、
以前の愛車・プジョー208と同じである!
が、受ける印象は随分違うのが不思議なところだ。
208は高回転までスムースに回って気持ちよかった。
ミラージュの美点は、ステアリング操作がかなり好印象。
手ごたえがしっかりしていて、自然。フワフワと軽くもない。
足回りや、ロール感なども「しっかり感」を感じさせた。
およそ90kmを走って5リットルを給油。
レンタカーのため参考ながら、16km/lという好燃費となった。
奇をてらった点は一切ない(笑)が、大きくネガに感じる点もない。
Aセグメントで138万円という価格に、競争力があるかと言われたら、
ないかもしれない。フィットやノートやスイフトやデミオでもなく、
あえて三菱ミラージュを選ぶ理由としては乏しいと言わざるを得ない。
ある程度の値引きがあれば俎上に上がるだろう。
あるいは国産の中でレアなコンパクトカーが欲しければ、どうぞ(笑)